2009年10月30日金曜日

続・固定資産の減損 共用資産のある場合

前回の記事では簿記で減損の問題を解くときの基本的な解き方を書きました。

今回は、共用がある場合の解き方を書こうと思います。今日、久々に減損の問題を解いてみて、ケアレスミスをしてしまった箇所や抜けていた箇所があったので、忘れないようにしなければ・・・。

前回書いた解法の順序は以下のとおりでした。

1・減損の兆候のある資産の割引前将来CFの見積もり

2・帳簿価額の算定

3・1の割引前将来CFと2の帳簿価額を比べる

4・1の方が2より小さい場合、回収可能額まで簿価切下げる判断

5・回収可能額算定

6・減損損失の算定

これにどのような手順が加わるのでしょうか。
まず、共用資産がある場合は2種類の会計処理があります。

1.より大きな単位で共用資産をグルーピングする方法(原則)
2.共用資産の帳簿価額を各資産に配分する方法 (例外)

則通りの処理を要求する問題では、以下のような考え方の順序になります。

まず、基本の解き方の1~6までは通常通り計算し、減損損失を出します。
次に、

7.大単位合計の減損損失を算出

の手順が入ります。これは、つまり、共用資産を含んだ大きなグループ全体の帳簿価額と、回収可能額との差を計算するのです。そして、

8.7で算出した大単位減損から6で個別計算した減損価額を引く

つまり、共用資産を含めることによって個別資産で算出した減損を超える額を算出するということです。

9.8で算出した超過額を共用資産の減損価額とする。

超過した額は共用資産に割り振られます。しかし、次のことに注意する必要があります。

10.共用資産の帳簿価額から共用資産の正味売却額を引いた金額が8で算出した超過額を超える場合は合理的な基準により各資産(グループ)に配分します。

とうとう手順10まで来てしまいました。長いですね。しかし、この10を忘れるとせっかく計算してきたことがパアになってしまいます。
これはつまり、共用資産の正味売却額がはっきりしている場合、それがその共用資産の価値であり、その価額以上価値を減ずることはできない、ということでしょう。

解法を覚えなきゃ!とばかり思っていると逆に覚えられないかもしれませんが、現実問題として考えると至極当たり前のことですね。

なお、B/Sの表示に関してぼくは今回ミスをやらかしてしまいました。
基本は「直接控除形式」で表示します。つまり、B/Sの資産の部に

建物
減価償却累計額
建物(純額)

のようになっている場合、減損損失は建物から直接減額するのが基本です。
ぼくは、建物を取得価額のままにして、その後、減損を計算して、建物(純額)を記入し、その差額を減価償却累計額としてしまいました。

そのような表示の仕方も「合算間接控除形式」としてあるのですが、基本は「直接控除形式」になるそうです。ちなみに減損損失はPL上は特別損失になります。

共用資産の原則的な計算方法については以上です。


なお、例外の方法である各資産に配分する方法は詳しく述べませんが、

各資産の帳簿価額-回収可能価額 の額等に応じて共用資産の額を各資産に配分します。

そして、配分後の価額と割引前CFを比べて減損を認識、回収可能価額まで減額します。

そこで算出された減損価額を今度は各資産ごとに

各資産の減損損失×共用資産帳簿価額の配分額÷共用資産配分後帳簿価額

で共用資産に割り当てる減損の額を算出します。以上です。



本当はのれんのあった場合もこの記事に一緒に書こうと思ったのですが、長くなるのでやめて次の記事にしようと思います。

さて、一応、1~10までを後で見やすいように並べておきます。

1・減損の兆候のある資産の割引前将来CFの見積もり

2・帳簿価額の算定

3・1の割引前将来CFと2の帳簿価額を比べる

4・1の方が2より小さい場合、回収可能額まで簿価切下げる判断

5・回収可能額算定

6・減損損失の算定

7.大単位合計の減損損失を算出


8.7で算出した大単位減損から6で個別計算した減損価額を引いて超過した額を算出

9.8で算出した超過額を共用資産の減損価額とする。 

10.共用資産の帳簿価額から共用資産の正味売却額を引いた金額が8で算出した超過額を超える場合は合理的な基準により各資産(グループ)に配分します。

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