2009年11月14日土曜日

税効果会計の問題の解き方

予告どおり、今日は税効果会計の問題の解き方について書きたいと思います。

公認会計士試験の短答式試験の20年度財務諸表論 問題20です。
問題を全文書くのは面倒なのでところどころ省いてます。

問題を解くときの必要な知識を先に書いておきます。

・その他有価証券評価差額金の扱い

・法人税等調整額の出し方

ほとんどこの2点だけです、この問題を解くときに必要なのは。

<問題>
資料に基づき当社の当期の法人税等調整額を答えなさい。

・資料1
一時差異の内訳

(単位:千円)








当期における貸倒引当金に係る一時差異は4200円と以下、資料2により計算される一時差異の合計額である。

・資料2
A社に対する売掛金12000千円があり、破産更正債権等に該当。税務上の繰入限度額50%が損金算入された。全額回収不能、債権者集会も開催できない。

・資料3
保有するその他有価証券の内訳。前期当期における売買は一切なし。全部純資産直入法。

(単位:千円)






・資料4
その他の一時差異はすべて将来減産一時差異

・資料5
前期の法人実効税率42%
当期の法人実効税率38%


<解答>

1.当期の貸倒引当金を計算します。
12000千円が破産更正債権になったのですから、会計上は12000を貸倒引当金繰入額として費用計上しているはずです。
しかし、税務上は50%の6000しか損金算入されていないのですから、6000の差額があります。
これに4200を加えて、10200が当期の貸倒引当金になります。

2.前期と当期の一時差異を全て合計します。

前期末 150,300
当期末 175,150

となります。ここに、その他有価証券評価差額金は含まれていません。なぜなら、全部純資産直入法で直接純資産の部に加減されているため、損益計算に影響しないからです。損益計算に影響しないということは、一時差異もでません。



3.法人税等調整額を計算

175150×38%-150300×42%= 3431

となります。この計算は一時差異に実効税率をかけています。つまり、各期の繰延税金資産を計算しているわけです。
ここで必要なのは、繰延税金資産と繰延税金負債の差額を期首期末で比較した増減額は当期に納付すべき法人税等調整額である、という知識だけです。
この問題では全てが将来減産一時差異ですので、繰延税金資産だけです。その他有価証券評価差額金が増えていれば将来加算一時差異ですが、今回の問題では関係ないのは先ほど述べたとおりです。

以上です。この問題では、その他有価証券評価差額金の金額は計算する必要がないということですね。このあたり、実際の試験のときにすぐ判断できると少しでも時間短縮になると思います。

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