2009年11月11日水曜日

スワップ取引の問題の解き方

今日はスワップ取引について勉強しました。

とはいえ、あまりスワップ取引についての問題がたくさん掲載されている問題集を持っていないので、それほど深く理解できたかは怪しいですが・・・。

今回は超簡単にですが、マインドマップを作りました。


 このマインドマップはいつものとおり中央経済社の「スタンダード財務会計論Ⅱ応用論点 第3版」から作成しました。

スワップ取引の定義は「あらかじめ決められた算式に従って現在価値が等しくなるように、将来CFを2当事者間で交換する相対取引」です。

なんかややこしいですが、とりあえず例としては変動金利と固定金利を交換する金利スワップなどがあります。

具体的にどういう取引かというと、A社がB銀行から1000万円を変動金利で借りたとします。しかし、変動金利では、この先の支払利息が予測しづらいので今後の予算の作成に支障をきたすとA社は判断しました。

そこで、C銀行とスワップ契約を締結します。想定元本は同様に1000万として、受取金利をA社からの借り入れと同じ条件の変動金利に設定します(つまり、B銀行に支払う支払利息はまったくの同額をC銀行から受取利息として受け取ることにより、相殺されます)。

そして、C銀行には固定金利を支払います。

この結果、A社の損益では実質、1000万の借り入れに対して、固定金利を設定したのと同じことになり、予算作成が楽になります。

当然、変動金利がさがって、C銀行と締結した固定金利を下回った場合には損を認識し、その逆の場合には益を認識します。

さて、では解き方です。
スワップ取引の会計処理には3種類の方法があります。繰延ヘッジによる方法、特例処理、公正価値ヘッジによる方法です。

これらの区別はヘッジ対象資産と金利スワップの評価方法の違いによります。日本での原則は繰延ヘッジによる方法です。国際的には公正価値ヘッジによる方法らしいです。

<繰延ヘッジによる方法>
ヘッジ対象資産は原価評価され、金利スワップは時価評価されます。

<特例処理>
特例処理は、ヘッジ対象資産が原価評価されるのに合わせて、金利スワップも原価評価し、スワップの時価の変動を認識しない方法です。ただし、この処理を使用するためには条件がいろいろあります。
ここでは書きませんが、要は金利スワップと対象資産の性質が限りなく同一に近い場合です。

<公正価値ヘッジによる方法>
特例処理とは逆に、スワップが時価評価されるのに合わせて対象資産も時価評価しようという方法です。しかし、対象資産が借入金の場合、借入金が時価評価されてしまいます。借入金は原則原価評価されるものですから、この処理はGAAPに抵触する可能性があります。

いわゆる時価ヘッジと同様の処理で、損益は繰延ません。



<例題>
①1年4月1日に以下の条件で金利スワップを締結
想定元本:500,000千円
変換条件:変動金利年LIBOR+0.5%を受け取り、固定金利3%を支払う
受払日 :年1回3月31日
期間   ;5年間
金利スワップの受取金利は1年前のLIBORの水準を用いて計算
 ※LIBORとはロンドン銀行間取引金利のことです。

②2年3月31日受払いを行った。
なお、1年4月1日におけるLIBOR水準は3.3%

③2年3月31日決算整理仕訳
金利スワップの時価は500千円



仕訳は以下のとおり

<繰延ヘッジによる場合>
①については、スワップの締結だけでは仕訳はありません。
デリバディブ取引の会計処理の原則は正味の財産をBSに表示することが原則だからです。

現預金 4000 /受取利息 4000
※500,000×(3.8%-3%)=4,000
受取利息が3.8%、支払利息が3%なので、0.8%分の受取利息になります。
ひとつのスワップ契約についての利息なので、支払いと受け取りは別立てせず相殺します。

③ 金利スワップ 500 / 繰延ヘッジ損益(純資産) 500

<特例処理>
上記、繰延ヘッジによる場合の③の仕訳がなくなるだけです。理由は特例処理では金利スワップを時価評価しないからです。

<公正価値ヘッジによる場合>
①と②は同様です。
③については
金利スワップ 500 / スワップ差益(営業外収益) 500
となります。
この例題では、スワップ契約のみ与えられていますが、かりに対象資産が借入金500,000だとすると、以下の仕訳を追加します。

借入金評価損(営業外費用) 500 / 借入金 500

よって、営業外収益と費用が相殺され損益に影響はなくなります。

つまりスワップの処理ではPLには影響がでないということですね。







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